SNSを活用したパブリックコメント〜注意点

ネットでアンケートの仕組みは提供できるが、回答数を集めることができない

SNSやホームページの活用となると、まず第一に頭に浮かぶのが、ネットを通じて地域の皆さんと自由に意見交換できないか?皆さんの意見を集約できないか?ということだと思います。 実際にホームページアンケートフォーム等を設置している方も多数おられます。また無料のアンケートサービスなどもネット上にはたくさんありますので、仕組みを利用することには何の問題もありません。 しかし、これらはだいたいにおいて上手くいきません。アンケートサービスなど仕組みの利用は簡単ですが、告知すること、地域の住民から回答を得る事にこれといった対策が無いからです。

しかし、まったく方法がないわけではありません。Twitterでアンケートよろしくお願いしますとつぶやいてもあまりレスポンスはありませんが、DM(ダイレクトメッセージ)であれば、返答率が格段に上がります。またFacebookで告知する場合、通常、自分の友人に回答を依頼すると、かなり偏った層の回答となりますが、エリアターゲット広告を利用することにより、公平な地域住民からの回答が期待できます。

アンケートの仕組み

外部のサービスを有効活用するためにも、自分のドメインのホームページの役割が非常に大きい

弊社の議員デスクというサービスを通じて、何人かの議員で2014年に東京23区や周辺都市で地域住民へのアンケートを試験的におこないました。回答数は多い人で600、だいたい200〜400の回答数を得る事ができました。またボランティアに50人以上の応募があったりなど、効果は非常に高いと感じました。しかしながら、同じ手法を用いても、回答率に差があったり、アンケートをすることによって、逆に議員が叩かれたりなどの弊害もありました。その殆どは手法ではなく、アンケートの内容に関するものです。はっきりとした傾向がありますので、注意点としてまとめておきます。

設問内容内容を吟味すること

Twitterの場合は直接回答依頼を行ないます。わざわざ、DMなどで依頼する以上「わかりきったこと」「くだらない」と感じる様な内容の設問は避けるべきです。

アベノミクスをどう思いますか?
評価する
評価しない

このような質問は不可です。わざわざ地方議員の「あなた」をフォローしている人が答える意味がないからです。回答したところで、どのような効果があるのかも不明です。その地域に住んでることが最大限生かせる内容にしましょう。ローカルすぎて、他のエリアの人には意味不明なものは逆にOKです。

普段からネットで情報配信をしっかり行なっている事

ネットでデマを流す事は簡単です。アンケートなどの依頼を受けた時にまず、普通の人は疑います。どのような人が、どんな目的で?個人情報を得る事が目的なのではないか?売名行為ではないか?等々、このような疑問を解消するために、その本人の名前で検索したり、ホームページを見ます。その内容から受ける印象が、アンケートとかけ離れていれば「スルー」するでしょう。

その問題に対する解決案を提示できる知識をもっていること

たとえば、新しく施設を建設するとき、その事自体の情報は行政のホームページで公開されてます。ただし、皆さんはその予算が適正なのか?、どんな問題があるのか?どんな解決法があるのかがわかりません。「皆さんどう思いますか?」「反対ですか?賛成ですか?」と言った漠然とした内容では、拡散もされにくく、回答率も低い結果になります。解決策までしっかり選択肢の中に提示するなどして、やっと回答が集まります。

ネットアンケートに反応する層はインターネットスキルも高く、また地域問題に意欲のある方が多い傾向があります。中途半端な情報や、漠然とした内容は返って批判を浴びる結果になります。アンケートを通じて地域の諸問題をとりあげるというスタンスが望ましい様です。

アンケートの設問ページでは資料や写真などを使用しての作り込みが必要です。

「シンプル」「わかりやすさが大切」「ワンイシュー」などと議員が頑に主張したために、簡単なテーマ、第三者から見ても安直と感じてしまうような設問での、回答依頼を行なったところ、「議員仕事しろ」「ネット使って何やっているんだ」などという回答がかなり来ました。

反面、資料などを添えて、専門性を持った内容のものは、このようなレスポンスは一切ありませんでした。

中立性、公共性が大切

露骨な反対運動、賛成運動では回答数が得られません。実際のところ、政治的な問題はアンケートに馴染みません。どんな立場の人でも意見をいえる様なテーマが地域アンケートとして適当です。議員としての方向性は提示する選択肢などで表現することができます。主張は論理的にかつ、間接的にというのが、ネットでの情報発信に馴染む様です。このあたりが、解り易さが重視され結果にもつながる、リアルな政治活動と若干異なるネット独特の傾向です。

やりっ放しは不可

手間をかけて回答することで、どんなメリットがあるのかという回答者の疑問に答える為にも、アンケート結果公開や、結果の活用が必要です。議会で資料として提出したなどの形に残る報告が望ましい形です。またボランティアの募集も数人の応募があるだけで、受け入れ側はスケジュールの調整などが非常に大変になるでしょう。

ボランティア募集なども効果的

漠然とお手伝い募集などとホームページで告知しても滅多に応募はありませんが、上記の様に具体性と専門性がしっかりと告知できれば、弊社の事例の中でも応募者が多数ありました。その際に、ボランティアスタッフは、自身の活動地域ではなく周辺からの方が集まりが良い傾向がありました。自分の居住区で同様の事をしている人が、他の地域でも応募してくるという事の様です。自分の居住区では、自由な挑戦ができない、地域のしがらみで地元の募集には応募できない、などの理由の様です。SNS、ネットでの情報配信やターゲットは議員自身の活動地域プラス、隣接地域と考えると良いと思います。

回答数はだいたい400ぐらい、設問内容が回答数を大きく左右する

弊社の事例からすると、Twitterのフォロワーが1000〜2000人おり、Facebookの広告費が2万程度かけ、ホームページやブログでの情報配信がしっかり出来ていれば、300〜400ぐらいは集まるようです。これは議員本人の普段の情報配信と取り上げる問題に大きく左右されるようです。

実施時期がちょうど、統一地方選前でしたので、急にホームページをはじめたような議員も実施しましたが、日頃の情報配信が出来ていない方への回答率は非常に低く、具体的にいうと、芸能人の様なイメージ主体のきれいなホームページとアメブロなどで、「何処そこにいった」「誰と会った」という内容だけに終始している方は、得票数も多く知名度の高い方でも回答があまり集まりませんでした。また、このような議員はイメージ戦略上、あまり露骨に諸問題に踏み込まない様子もあり、設問内容が「浅かった」ということも関係している様です。

Twitterだけであれば、回答数は少なくなりますが、費用はかからなくなります。通常この様な地域限定のアンケートを業者を通じて行なうと、相場は20万 200人ぐらいですので、遥かに安く行なうことができます。また一週間程度の回答受付期間でこれぐらいの結果を集めることができます。

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